不動産机上査定は「価格」で差別化すべき?データが示す高値査定のリスクと勝つための戦略

不動産一括査定サイトからの反響に対し、迅速な初期対応を行い、多くのケースで次に求められるのが「机上査定(簡易査定)」です。
顔を合わせず、書面やデータのみでファーストインプレッションが決まるこの段階において、いかにして競合他社との「差別化」を図り、訪問査定へと繋げるかは、多くの不動産営業担当者にとって最大の課題と言えます。
机上査定で差別化を図ろうと考えた際、最も簡単に実行でき、かつ売主様の関心を強く惹きつける要素が「査定価格」です。
しかし、とにかく高い価格を提示する「高値査定」は、本当に正しい戦略なのでしょうか?
日本全国で月間数千件に及ぶ一括査定の反響対応や追客支援を行う「追客のミカタ」を提供するミカタ株式会社では、一括査定利用者の動向に関する膨大なデータを蓄積しています。
本記事では、弊社が独自に調査したデータをもとに、机上査定における「価格」での差別化の真実と、高値預かりのリスク、そして適正価格で確実に媒介を勝ち取るための戦略について徹底解説します。

追客のミカタ運営チーム
不動産業界最大級の追客支援サービス「追客のミカタ」運営チーム(ミカタ株式会社)。不動産売買仲介会社様向けに、一括査定の初期対応から長期追客まで全面的にサポート。累計導入500社超、月間追客7.3万人以上の実績と独自データに基づき、媒介契約を獲得するための実践的なノウハウを発信しています。
一括査定における「高値査定(高値預かり)」の魅力と隠されたリスク
一括査定を利用して不動産の売却を検討している売主様にとって、一番の関心事は間違いなく「自分の家がいくらで売れるのか」という点です。
複数社から机上査定書が送られてきた際、自身の想定や他社の提示額よりも頭一つ飛び抜けて高い査定価格を提示されたら、売主様が「この会社なら高く売ってくれるかもしれない」と期待に胸を膨らませ、その不動産会社に好印象を抱くのはごく自然な心理です。
そのため、「まずは訪問査定に呼ばれること」「まずは媒介契約を預かること」を最優先のゴールと設定した場合、極端な高値査定で他社を出し抜く手法は、短期的には非常に強力な武器となります。
しかし、不動産仲介事業における本当のゴールは、「媒介契約を獲得すること」ではなく、「売買契約を成立させ、仲介手数料を頂戴すること」です。
この最終ゴールから逆算して考えると、意図的な高値査定(高値預かり)は非常に大きなリスクを孕んでいます。
もちろん、高値で媒介を預かった後、時間をかけて売主様を説得し、徐々に相場価格まで値下げをしていく「値こなし」という営業戦略も存在します。
従来のチラシ反響や紹介案件のような「1社単独」の状況であれば、この手法も通用したかもしれません。
しかし、一括査定を利用する売主様は、すでに複数の不動産会社とコンタクトを取れる状態にあります。
相場からかけ離れた価格で売り出し、数ヶ月経っても一向に問い合わせが入らない状況が続けば、売主様は不信感を募らせます。
そのタイミングで他社から「相場に合わせた適正価格で売り出しましょう」と横槍を入れられれば、あっさりと媒介を乗り換えられて(他決されて)しまう可能性が非常に高いのです。
データで判明!一括査定の売主の約75%は「適正価格」で売り出している
「でも、高く査定しないとそもそも媒介が取れないのでは?」と不安に思われる営業担当者様も多いでしょう。
しかし、ここで一つの興味深いデータをご紹介します。
私が以前、一括査定サイトの運営側にいた際、一括査定を利用した売主様の物件が実際にどのような価格で売りに出されているのか、ポータルサイトやレインズ(REINS)、登記簿謄本などを駆使して徹底的に追跡調査を行いました。
その時に、200物件程私が査定をし、売出物件が相場とどれくらい乖離してるか調査したことがあり、その時のデータです。

私が勤めていた不動産会社では、媒介物件を相場からの乖離率によって以下の3つのランクに区分していました。
- Aランク:相場からの乖離が5%以内(月内契約を狙う適正価格の物件)
- Bランク:相場からの乖離が5%〜10%(3ヶ月以内の契約を狙う物件)
- Cランク:相場からの乖離が10%以上(値こなしをしないと売れない高値物件)
調査の結果、一括査定を利用して実際に売りに出された物件の「3/4以上(約75%超)」が、相場からの乖離が10%以内の「Aランク・Bランク(適正価格に近い水準)」で販売活動を行っていたのです。
このデータが意味することは極めて重要です。
売主様は決して「根拠のない高値」だけに踊らされているわけではありません。ご自身でもポータルサイト等で周辺相場を調べており、非現実的な高値査定を提示する会社に対しては、むしろ「契約を取るための嘘ではないか」と警戒心を抱く層が多いということです。
つまり、無理な高値勝負(嘘の査定)をしなくても、適正な価格と納得できる根拠(販売戦略や市場データ)を誠実に提示すれば、十分に媒介を預かれる母数(市場)は存在しているのです。
机上査定止まりの「そのうち客」を宝の山に変える長期追客
適正価格での机上査定書を作成し、誠実な提案を行ったとしても、すぐに訪問査定に繋がらないケースは多々あります。
ここで「価格で負けたからだ」「売る気のない冷やかし客だったのだ」と諦めてしまうのは、自ら巨大な売上を捨てているのと同じです。
弊社が独自に行った調査データが、机上査定後に連絡が途絶えた顧客の真のポテンシャルを証明しています。
データ1:反響から1年以内に「約2割」が実際に売却している
一括査定利用者の登記簿謄本を毎月確認し「所有権移転率」を調査した結果、机上査定で見送りになったり、電話が繋がらなかった顧客であっても、反響発生から約1年以内で全体の約2割(18.54%〜19.66%)が実際にどこかの不動産会社を通じて売却(所有権移転)に至っています。
データ2:媒介契約の「約半数」は30日以上の長期検討
また、媒介契約を結ぶまでの検討期間を調査した結果、約55.5%は30日以内ですが、残りの約44.5%は30日以上(中には90日以上)の長期検討を経てから決断しています。
つまり、机上査定の段階で「誠実で信頼できる不動産会社だ」という印象(差別化)を残すことができれば、今は動かなくても、将来の優良な見込み客(そのうち客)になるということです。
この膨大な潜在層を取りこぼさないためには、机上査定後も定期的に役立つ売却ノウハウや相場情報を送り続ける「認知の追客」を仕組み化し、いざ売主様が動き出す絶好のタイミングで真っ先に思い出してもらうザイオンス効果(単純接触効果)を狙うことが不可欠です。
まとめ:適正査定での差別化と長期追客の仕組み化なら「追客のミカタ」
机上査定において「価格」だけで差別化を図る(極端な高値査定を出す)ことは、最終的な売上(成約)に繋がりにくいハイリスクな戦略です。
データが示す通り、多くの売主様は適正価格での売却を望んでおり、誠実な査定と論理的な提案こそが、競合ひしめく一括査定で勝ち残るための王道となります。
そして、適正な机上査定を行った上で、すぐに結論を出さない長期検討顧客(そのうち客)を確実に自社の売上へと育成するためには、会社主導での「追客の仕組み化」が絶対に欠かせません。
「高値査定に頼らず、適正価格でしっかりと媒介を取りたい」「机上査定後の見込み客を取りこぼしたくない」とお悩みの不動産会社様は、ぜひミカタ株式会社が提供する「追客のミカタ」の各種サービスをご活用ください。
目先の「査定価格」の競争から一歩抜け出し、適正な提案と強固な追客スキームを構築することで、一括査定からの媒介獲得率を最大化していきましょう。


